2005-01-07 [J] 再犯者率関連まとめ
■ マスコミによる再犯率関連報道
◆読売新聞(2004年12月31日)
>特集 奈良女児殺害 繰り返された性犯罪、不十分な抑止対策
>警察庁によると、強姦(ごうかん)と強制わいせつで検挙された容疑者のうち、何らかの前歴を持つ者の割合(再犯率)はここ数年、50%を超え、30%台後半にとどまっている他の刑法犯とは大きな開きがある。
記事URL http://www.yomiuri.co.jp/features/nara/200412/na20041231_02.htm
◆東京新聞(2004年12月31日)
>核心
>『街の安心』か『更生』か強制わいせつ 再犯率4割
記事URL http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20041231/mng_____kakushin000.shtml
◆TBS「関口宏のサンデーモーニング」(1月2日)
番組で「性犯罪者の再犯率約41%(警察庁調べ)」という数字を提示。
関連URL http://deadletter.hmc5.com/blog/archives/000085.html
◆テレビ朝日「ワイドスクランブル」(1月4日、1月5日)
番組で「性犯罪者の再犯率約50超%(警察庁調べ)」という数字を提示。
関連URL http://deadletter.hmc5.com/blog/archives/000085.html(1月4日)
関連URL http://umetarou.sakura.ne.jp/diary/?date=20050105#p04(1月5日)
◆フジTVの夕方のニュース(1月5日)
番組で「警察庁によると、強姦と強制わいせつで検挙された容疑者のうち、何らかの前歴を持つ者の割合はここ数年、50%を超え、30%台後半にとどまっている他の刑法犯とは大きな開きがある」と、主張。
■ マスコミによる再犯率関連報道の問題点
[1]再犯率と再犯者率の混同
検挙者中に、再犯者が占める割合を表す「再犯者率」と、前科のあるものが再び犯罪を犯す確率を表す「再犯率」とは意味が異なる。報道に使用されたデータは再犯者率ばかりだったが、これを再犯率と誤認しているケースが目立った。
[2]罪種を絞り込んでいない再犯者率データの使用
報道各社が警察資料を基に算出した「41%」や「50%超」と言う再犯者率の値は、「検挙者中に何らかの前歴を持つ者の割合」であるが、この中には性犯罪以外(例えば万引き等)の前科も全て含んでしまっている為、「過去に性犯罪に手を染めた人間は、再び性犯罪を犯しがちである※」という文脈で用いるのは、極めて不適当である。
このような文脈で再犯者率(又は再犯率)のデータ使用する場合、同一罪種での(又は関連罪種に絞った)再犯者率(又は再犯率)のデータを用いる必要がある。
※今回の奈良事件を受けての一連の報道で使用された再犯率や再犯者率に関する数値は、原則的に「和製ミーガン法について、考える時期に来ているのでは?」という文脈上で提示されている。
[3]強姦と強制わいせつの、同一罪種の再犯者率
平成15年の場合、同一罪種の再犯者率が比較的高いのは、傷害(20.6%)、恐喝(20.1%)、詐欺(19.8%)、窃盗(18.6%)等であり、強姦(8.9%)や、強制わいせつ(11.5%)、強姦+強制わいせつ(10.6%)は、他と比べて決して高い再犯者率とは言えない。にも拘らず、性犯罪者の再犯者率がことさら高いような報道をする事は、問題がある。
関連URL http://umetarou.sakura.ne.jp/diary/?date=20050105#p01
※ 各数値は、『平成15年の犯罪 44 罪種別前科数別検挙人員( 成人)(http://www.npa.go.jp/toukei/keiji19/H15_04_6.pdf)』から算出。
■ その他の情報及びカウンターアクション
[その他] 再犯が50%超」と言う数値
TV各社とも数値の出所は「警察庁資料」との事であるが、それについての警察庁広報課の(1月5日時点での)回答(要旨)。
・「性犯罪者の再犯が50%超えると言うデータは、警察庁の方では出していない」
・「出している近い資料としては『警察庁統計資料 平成15年の犯罪 43 罪種別 初犯者・再犯者別 再犯者の前回処分別 検挙人員(http://www.npa.go.jp/toukei/keiji19/H15_04_6.pdf)』があるが、そのデータで計算しても50%に届かないので、番組で何故そういう数値が出たのか分からない」
・「読売新聞の12月31日の記事にも、『警察庁によると、強姦(ごうかん)と強制わいせつで検挙された容疑者のうち、何らかの前歴を持つ者の割合(再犯率)はここ数年、50%を超え』と言う記事があるが、少なくとも警察庁としてはそう言う発表をしていない。読売新聞の言う『ここ数年』がどの位の期間を指しているか分からない。もしかすると、TVの『50%超』という報道はその数値を使ったのかもしれない」
関連URL http://umetarou.sakura.ne.jp/diary/?date=20050105
[カウンター]怪しい数字がTV等に提示されたら
TV局の方に直接訴えたうえ、さらにBPOやBROにも訴えて下さる事を推奨します。
■ 和製ミーガン法
予想通りきました。おそらく和製ミーガン法の導入は避けられないと思います。
導入の際の、死守すべきポイントは2つでしょう。
1.「住民への情報提供は絶対に行なわない」
2.「情報漏洩を防ぐ為の仕組み作り」
これらさえ守られれば、ミーガン法の問題点が大幅に緩和されると思われます。また、警察庁が「性犯罪で服役している受刑者に対し、他の刑法犯とは別に専門の矯正プログラムを準備するよう法務省に働きかけたい」としている点については高く評価しています。
警察庁が日本版ミーガン法を具体的に検討しだしたらしいのですが、 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050107-00000000-san-soci より: >> 現在の統計方法では、婦女暴行や強制わいせつといった性犯罪は、同一罪種でのみ再犯率を集計しており、平成十五年中に検..
先日来話題にしている和製ミーガン法導入の是非についてですが、1月8日付の日経新聞が紙面上で「性犯罪者の再犯率が他の犯罪に比べて高いというデータはない」と明言しているようです。法務省がその効果について懐疑的で、他にも「導入は拙速ではないか」という意見が..
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(参照元:ミーガン法のまとめ @ macska dot org) 奈良小1女児殺害事件を契機として、日本でもその必要性が論議されているミーガン法についての是非を考えるべく、しばしネットを徘徊。そこでたどり着いたのが上記のサイト。注意)明らかに一方の肩を持った内容(ミーガ..
ミーガン法のまとめ @ macska dot org ネオリベラリスティックな衝動に抗して(ミーガン法 Part 4) macska dot org 再犯者率関連まとめ 日記みたいなモノ 性犯罪者の再犯率? Dead Letter Blog 健全な売り手/賢い買い手 Dead Letter Blog 「誰でも、自分でも、加害者に..