2006-11-07 [J]
■ 法務省が2006年犯罪白書を公表
したそうです。
白書の方はまだみてないので、とりあえず白書の性犯罪再犯率がらみに関する記事についてコメントをば。
まずは、読売の記事
性犯罪者の2割強が再犯、06年犯罪白書公表
〔……〕
性犯罪による受刑者の2割強が再犯者で、13歳未満の年少者を狙った受刑者に限ると、再犯の割合はさらに高く、3人に1人だったことが分かった。
〔……〕
中でも、13歳未満に対する性犯罪者の再犯傾向が強く、34・9%に性犯罪の前科があり、未成年時に性犯罪を犯して保護処分を受けたことがある割合も13・3%で、全体の6・9%に比べて高かった。
[Yahoo!ニュース(読売新聞)11月7日12時1分更新より引用]
まず、タイトルが問題です。この書き方ですと、あたかも性犯罪者の2割強が再犯に及んだかのように見えますが、実際は『受刑者の2割強が再犯者』と言う事で、再犯者率的な数値である事が分かります。
また、他の記述も全て再犯者率的なもので、かつ、再犯者率を「性犯罪」という広いカテゴリでカウントしているものです。
このやり方でカウントした場合、前科の有る割合が3〜4割程度になったとしても、さして珍しくありません(「25%が性犯罪検挙歴」のカラクリ参照)。
記者がよく分かってないのかもしれませんが、なんとなく「煽りたいだけ」という印象を受けました。
ただ、再犯者率であっても再犯傾向の「参考」にはなり得ますので、再犯者率からみた『13歳未満に対する性犯罪者の再犯傾向の高さ』も馬鹿には出来ないとは思います。
続いて日刊スポーツの記事ですが……
性犯罪、3回以上は36人
性犯罪で服役し、1999年の1年間に出所した元受刑者672人のうち約5%に当たる36人は出所後を含めて3回以上、性犯罪を繰り返していたことが、7日の閣議に報告された法務省の06年版犯罪白書で分かった。
〔……〕
白書によると、調査対象の672人は強姦のほか、強制わいせつ、わいせつ目的略取・誘拐、強盗強姦で服役していた元受刑者。127人はこれ以前に同様の罪の前科があり、服役時点で既に2回以上、性犯罪で有罪の確定判決を受けていた。
このうち、36人は99年に出所してから04年末までに再び、性犯罪で有罪判決を受け、確定したという。一方、性犯罪の前科がなかった545人のうち、出所後の04年末までに2回目の性犯罪で有罪判決が確定したのは、出所者全体の約6%に当たる40人だった。
〔……〕
服役理由が13歳未満の子供に対する強制わいせつだった141人の約40%に当たる57人には、それ以前に性犯罪の前科があった
[nikkansports.com(2006年11月7日9時54分)より引用]
スポーツ新聞の割に、煽る気があまり感じられません(笑)
ただ、要点がやや掴めないので少々補足しときます。
記事では『672人のうち約5%に当たる36人は出所後を含めて3回以上、性犯罪を繰り返していた』となっており、一見、再犯率が低いような印象を受けます。
が、性犯罪の前科があった元受刑者127人のうち36人が再犯を犯した訳ですので、性犯罪歴2犯以上の者の再犯率は28.3%と言う事になり、(性犯罪歴2犯以上の者に限れば)非常に高い再犯率だと言えます。
逆に、性犯罪の前科がなかった545人の方は40人が再犯を犯しており、(性犯罪歴1犯の者の)再犯率は7.3%です(この数値は他の犯罪と比べて決して高い数値ではありません)。
この事から、性犯罪歴2犯以上の者と性犯罪歴が1犯の者とでは、再犯率におよそ四倍もの差がある*1事が分かります。
当サイトでも以前から指摘しておりましたが、注意すべきは、やはり「性犯罪歴が2犯以上の者」といえるのかもしれません。
ちなみに日スポ記事の最後の『141人の約40%に当たる57人には、それ以前に性犯罪の前科があった』という記述は再犯者率的意味合いのもので、この数値が高いカラクリは前述の通りです。
*1 とりあえず、今回の調査では、と言う事ですが