2005-03-20 [J]
■ 成年コミックは、模倣犯を生んでいるか?
民主党の水島広子議員が3月15日の青少年問題特別委員会で「一部の人間が児童に見えるポルノに接することで、犯罪を犯しやすくなるという事例が報告されているので規制すべき」という趣旨の発言(動画)をされています。
模倣犯といえば、ドンキホーテ放火事件を小学生が模倣した事が記憶に新しいかと思われますが、「一部の者でも模倣犯がいるなら規制」と言う論理がまかり通るならば、報道も含めあらゆるものを規制する必要がでてしまい、問題があるかと思われます。
とは言え、実在しない児童を描いた漫画による架空の性表現(以下、「成年コミックなど」)が、防御能力が低く、かつ心身へのダメージが大きいと思われる「子ども」を対象とする性犯罪を、"徒に助長"しているという明確な根拠があるならば、また話は別になるのかもしれません。*1
では、成年コミックは、どのくらいの模倣犯を生んでいるのでしょうか?
「成年コミックなど」は、普通「性交」もしくは「性交類似行為」までを描き、「強制わいせつ」までしか描かないものは、ごく一部の例外の除いて、ほとんどありません。
また、刑法では、13歳未満に対しての性行為は強姦と見なされるので、成年コミック等を模倣して13歳未満の児童と性交に及んだ場合、それは「強姦」として認知される事になります。
つまり、「成年コミックなど」が模倣される事で「性犯罪が増加」しているならば、「成年コミックなど」があまり出回っていなかった時に比べ「強姦」が増加していなければならないと言う事になるかと思われます。
しかし、警察庁の「犯罪統計書」を調査したデータを見てみると、子どもを対象とした強姦事件の認知件数は、減少傾向にある事が分かります(強制わいせつ事件の認知件数は増加傾向にあるので、「時代の変化や暗数などによって、性犯罪の報告件数が減ってしまっている」訳ではありません)。
これらの事から考えると、「成年コミックなど」を模倣する事で、児童に対する性犯罪が起きるケースは、決して多くはないものと考えるのが妥当かと思われます。
よって、いわゆる「成年コミックなど」を規制しなければならない程の根拠はない物と思われます。
*1 いずれにしても「真似する方が悪いに決まっている」事なので、表現の自由を侵害しなければならない程、問題があるかどうかはさらに別問題ですが
成人向けアニメ・ゲーム追放議連(少女アダルトアニメ問題勉強会)が発足したとの報道がありました。 >> 「美少女アダルト」アニメ規制を…超党派議員が初会合 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050420-00000513-yom-soci http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20050420i51..
kitanoのアレ様のサイトで成人向けアニメ・ゲーム追放議連発足:野田議員「わいせつでなくても取り締まれ!」という記事がアップされた。言わずもがな当ブログでもお伝えした幼児のアダルトアニメ規制、国会議員が勉強会という新聞記事を取り上げて、詳しく説明しておられま
>強制わいせつ事件の認知件数は増加傾向にあるので、<br>>「時代の変化や暗数などによって、性犯罪の報告件数<br>>が減ってしまっている」訳ではありません<br><br>「強制わいせつ」は「痴漢」の迷惑防止条例違反から強制わいせつ罪への格上げによるものである。
>「強制わいせつ」は「痴漢」の迷惑防止条例違反から<br>>強制わいせつ罪への格上げによるものである。<br><br>ソレもさることながら、社会の性的人権に関する意識の高まり(被害を訴える人が増えた)と、警察活動の変化(被害を正式に受理するケースが増えた)による所が多いのではないか? と、思っています。